あたしの執事
こういう時だけ、あたしに頼るって筋か…


「何が『だもん』よ!アンタがこの早春真っ只中に、上半身裸でベランダ出るから悪いんでしょ!自業自得」

「俺、そんなことしたっけ?」

「した!急に頭冷やしてくるって、何故かあたしも連れて行ったでしょーが」

「あー…なんか思い出してきた」


全くコイツと来たら…と密かに悪態をつくあたし。


「薬買ってくるから、黙って寝てて」

「やっさしー。さすが俺の彼女ー」

「…やっぱ、やめよーかな…」


如月玲。あたしの執事、兼、お世話係。

でもその実態は、隅から隅まで腹黒く、とことんいらない情報をあたしに取り付けようとするクソ執事。


「いいよ。そしたら、俺買って来っから」


そう言って立ち上がる如月。


「店の店員、口説いてタダにしてもらお」
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