あたしの執事
そして、とことん悪どいことしか、思いつかない。


「あたしが買って来ます」

「お、千秋ヤキモチ?」

「違う。近場の店でそんな卑怯なことされたら、溜まったもんじゃないから」


あたしはそう言って足を進める。ここから1番近いドラックストアーと言っても、2㎞近くある。


「車出すわ。千秋、待ってて」


突然、ソファーから起き上がった如月。当然あたしは困惑する。


「何言ってんの!アンタ風邪引いてるんでしょ」

「いいよ。それぐらい。千秋ナンパされた方が困るし」

「分け分かんないから。とにかく、寝てて」


あたしごときがナンパなんかされるはずないだろうが、と心の中で呟く。


「ちゃんと寝ててよ!」


そう言葉を残すと、あたしは静かに家を後にした。
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