あたしの執事
大声を張り上げても、やっぱり応答はなし。

聞こえるのは、息を切らしたあたしの声と、小さな寝息だけ。


「…そっか、寝てろっつったのあたしだもんね」


如月の綺麗な寝顔。キメ細かい肌にスッと手を伸ばし触る。やっぱり少し熱がある。


「千秋ちゃんエローイ」

「…起きてたの!?」


見開いた大きな目。ああ不覚にも、騙された…


「こうやってたら襲ってくれるかなと思って」

「バッカじゃないの?」

「襲いかけてたくせにー」


にっと笑う如月に反応したかのように、胸が締め付けられる。


「…何つー顔してんだよ」


如月はあたしの顔にかかっていた髪の毛をよけ、頬に触った。

< 95 / 134 >

この作品をシェア

pagetop