隠し事


ギュッと瀧の腕に優しく包まれる。

「俺だって離す気ねぇよ。」

「でもッ…"ひろせるな"がぁ――…」

「ひろせるな??誰だよ??」

「誰って…ドックタグの……」

「ドックタグ??そういやさっきもドックタグがとか言ってたな……あぁ…あれか。あれは俺のじゃねぇ。」

「でも瀧のポケットに入ってた!!!」

「お前が来る前日にダチが俺んち来て、飲んでさ、あいつ酔うと彼女の話ばっかするんだぜ??ドックタグもプレゼントされたとか嬉しそうに話したくせに、あいつさぁ………」

そこまで言うと、瀧がククッと笑いだした。

「た、き…??」

「あいつ、帰るときまだ酔ったままでさ…ククッ…ドックタグと買った飲み物についてたオモチャの首飾り、間違って持って帰ったんだよ。で、会社で返す予定が全然合わなくて仕方なく持ち帰ったのをお前が見た。」

「…………」

「信じれないか??なんならあいつに電話してもいいぞ。」

「………信じる。」

瀧の目が嘘なんかついてない。

でも、まだ聞きたいことがある。

これが1番聞きたいこと。



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