君にティアラ
珍しく黙り込んだ真菜の顔をそっと見つめると。

「そりゃ…豊は優しいし、モテる、けど」

ぷいっ。

拗ねたようにそっぽを向いて真菜がぽつりと言った。

「あたしだって、豊に近付く女の子達に負けないように努力してるんだもん」

ピンクのグロスで光る唇を小さく噛む。

…何だかスゴく、真菜が可愛く見えた。

や、普段から可愛いのは知ってたけど、この時の真菜は恋する乙女、そのまんまで。

そして拗ねた横顔が何だか健吾と重なって。
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