君にティアラ
「…なんか、あった?」

真菜の声と。

手を握る温もりに。

昨日もずっと、あんなに泣いた筈なのに。

後から後から涙が溢れて来る。

「…果穂、保健室行こ」

回りの様子を窺って、真菜があたしの手を引いて教室を抜け出す。

幸いまだ始業時間よりも早くて先生に見咎められることもなく。

教室にはまばらにしか人はいなかったけど。

授業を受ける気力すらないあたしにとっては有り難い言葉だった。


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