-三日月の雫-
「帰ったらケーキ作ってあげるっ」
「雫希、作れるの?」
泣きたいくらい嬉しくなる感情を、皮肉に隠して雫希に囁けば、
「……作れるよっ! これからずっと、尊がお爺さんになっても作るからっ」
ムッとして口を尖らせた雫希が返す言葉に、思わず唇を寄せて塞いだ。
「いいよ……ずっと、俺が食べるよ」
だからずっと……俺の傍に居て欲しい。
もう一度唇が重なる直前、囁いた言葉で頷いた雫希がギュッと制服を掴んだ。
「……宮越 尊は、小野寺 雫希を愛してます」
二人だけの結婚式。
きっと、誓いは永遠のモノに……。
-Fin-