-三日月の雫-
あれから年月は過ぎ雫希は十七、俺は十八になろうとしていた。



長い月日の中で成長して心と体はどんどん変わっても、雫希が俺を呼ぶ声だけは変わらなかった。




十二年の時間が育んだ幼なじみという信頼と愛情。



心に寂しいモノを隠し持つ雫希にとって、俺は数少ない拠り所だっただろう……。



例えそれが、父からの命令を忠実にこなしてきた結果であったとしても……俺は胸のどこかで、雫希に必要とされている事実を心地良く思っていた。






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