-三日月の雫-
小野寺の祖父さんは体調を崩して入院中だった。

父に言った通り、挨拶をする為に訪れた病室の隙間から見えた雫希の顔。



ひどく驚いて、動揺していた。


きっと何も聞かされていなかったんだろう……。



両親は亡くとも、雫希はあの祖父さん祖母さんにこの上なく大切にされている。


だからきっと、雫希が望まなければ跡継ぎの話は成立しない。


俺は雫希に受け入れられるだろうか……。


例え今すぐで無くても良い。


十二年間必死に守ってきた父の命令を、ここでダメにしたくない。



明日、雫希と話をしよう。

きっと動揺しているだろうけど……それを落ち着ける自信はある。



だって俺は、その為に幼なじみをしてきたんだから。





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