Tales of Love

｢くそ、煙りでよく見えない、美里は…教室か、待ってろよ美里｣

二年生教室、美里は火が徐々に燃え移っていく四部高の教室の中、一人時が経つのを待っていた。避難するときに誰かにぶつかられ転倒した時に頭を打って気を失ってしまい気がついたときにはもう避難出来ないほどに火が燃え広がっていた。おまけに頭を打ったときと煙りをすってしまったせいで意識がはっきりせず動くことさえできなかった。
｢あ〜あ、まだやりたいこと沢山あったのになぁ…｣

なぜか涙は出てこなかった。これからどうなるのかわかっているはずなのに。

『こんなことになるならもう一度ちゃんと…！？』

美里は自分の頭上にある蛍光灯が落下しそうなことに気がついた。しかし体は動かない、ましてどのみち後数十分後には自分は死ぬのだ。美里の頭の中に今までの思い出が走馬灯のように流れていった。気掛かりなのはただひとつ、一年前のことだけだ…

そんな中ついに蛍光灯が落下してきた。反射的に目をつむった。

『さよならみんな、そして…』