Tales of Love
第五章
「…!?テル…君?」

そこにいたのは逢いたくて逢いたくて想い続けて来たテルだった。

「テル?僕の事ですか?」

「え?」

「うわ〜い、兄ちゃん今日も来てくれたの!?」

「あぁ、診察があったからな。この人達は?」

「僕をお見舞いに来てくれたんだって、遠い所から来たんだって」

「そうか、はじめまして」

「おい、テル何ふざけてんだよ!?半年ぶりだからって冗談きついぜ?」

「だからテルって誰なんです?」

「テル君、私だよ、美里だよ!髪伸ばしたから気がつかなかった?」

「失礼ですがあなた達と会うのは初めてのはず…ですよね?」

「おい、いい加減にしねぇと殴るぞ、てかはずってなんだよ?」

「僕は記憶がないんです」

「!?」

「倒れている所を老夫婦に助けられまして。それ以前の記憶がないんです」


「ところでさっきから僕の事テル、テル言ってますけど?」

「ああ、すまん、お前が俺達の探してる親友にそっくりだったから間違えちまって」

「その人行方不明ってことですか?」

「はい。名前がこの子と同じ大森正輝っていうんでもしかしたらと思って…」

「そして僕にそっくりっていうんですか。会ってみたいですね。」

「あの、どうして倒れてたんですか?」

「それもわからないんです、無理に思い出すつもりもありません」

「すいません、ちょっと図々しかったですよね」

「そんなことありませんよ」

「あの、最後に一つだけ聞かせてください、今どこにいるんですか?」

「僕を助けてくれた、老夫婦の家に住まさせてもらっています。じゃあ僕はこの辺で、あっそうだ名前聞いてませんでしたね」

「美里です。こちらが京子そして」

「近藤一重だ」

「ありがとうございます…それと」

病室から出ようとしたとき少年は振り返らずに足を止め言った。

「一つだけ分かっていることがあるんです。倒れていた時に燃えかけたカードのような物を持っていたんです、それからかろうじて名前だけ読み取れましてね…僕も正輝っていうんです…」

「!?」

そう告げると正輝と名乗った少年は病室から出ていった…
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