Tales of Love
数日後、美里達は老夫婦の話しを聞くために再びB県を訪れた。

「すいません、お電話しました小野ですけど」

「待っていました、どうぞ上がってください」

老夫婦は美里達を家に上げが正輝がいる気配はなかった。
「あの、正輝君は?」

「あいつは調度病院に行っています。そろそろ帰ってくる頃だと思います」

ふと美里は仏壇の前に飾られた三枚の写真をみつけた。

「ああ、あれですか…息子夫婦と孫です。半年程前に交通事故で亡くなりましてね」

「そうなんですか…」

「ええ…同居していたので私達二人だけになってしまいましてね。寂しくて旅行に行くことにしたんですよ、そこで正輝を見つけました。記憶を無くしていて身寄りのわからない正輝に私達は一緒に着いてこないかと提案しました。ちょうど孫と同じくらいの年頃そうだったのでなんだか孫が帰って来たみたいでうれしくてね、正輝も私達に着いてくることを望みました。」

その時正輝が病院から帰って来た。客が来てるのかと思いドアを開けようとしたが漏れてきた会話を聞き立ち止まった。

「背中に傷と体に火傷を何箇所か負っていましてね、こっちに来てもしばらく病院に入院していました。」

『僕のことみたいだけど、何話してるのかな?』

正輝はそっと会話の続きを聞いた。
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