ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
「参ったなあ……。
先生いないのかあ……。
私、授業戻らなきゃいけないんんだけどなあ……。
でも、かといって花梨を放置するわけにもいかないしィ~……」
杏子が俺をじっと見つめた。
何か言いた気な目。
「山内ってさぁ?」
「ン?」
「花梨の彼氏だよね?」
「あー……うん」
一応ね。
俺が頷くと、杏子はニッと笑った。
「じゃあ、花梨のことよろしく!」
は?
杏子はスチャッと右手を上げて軽く敬礼すると、保健室を出ようとした。
「ちょ、ちょっと待っ……」
「山内サボりでしょ?
顔色いいもん。
どーせ暇なんだから花梨のこと看ててよ」
……サボりってバレてるし。
返す言葉に詰まり、俺が黙っていると、杏子は妖しく笑った。
「感謝してよね。
……2人きりにしてあげるんだから」
杏子はそう言うと「妊娠だけはさせないよーにね」って、冗談っぽく笑いながら保健室を出て行った。
ソファーで眠る花梨の頬に手を添える。
妊娠させないよーに……か。
……無理かもね。