ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
「毎日毎日、いろんな女に追っかけ回されて……美男子ってのも大変だな」
「あー……まあな」
俺はバリッと菓子パンの袋を破きながら、銀爾の言葉に適当に返事をする。
「で!?
今日は誰に告られたわけ!?」
真広が目をキラキラと好奇心に輝かせ、ずいっと迫ってくる。
「誰って言われても……名前なんて知らねーし」
菓子パンを手でちぎって口に運ぶ。
「ふうーん。
じゃあ断ったんだ?」
「……いや」
「は!?
まさかミナキ……OKしたの!?」
「ん、まあ」
真広は口をあんぐり開けたまま固まる。
銀爾は「いつものことだろ」って言いながらため息をついた。
「ミナキくん最ッ低───!
彼女いるくせに!
しかもいっぱい!
それなのに!
名前もろくに知らない子とさらに付き合うなんて!」
うーるーせー……。
騒ぎ散らす真広の唇に菓子パンを当てる。
「あ、メロンパン!」
真広はパンを頬張ると静かになった。