ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
冷たかった水は、俺が口に含んだ途端にぬるくなった。


その熱を帯びた水を、花梨の口に流し込む。


「ん……ふ……」


花梨が苦し気に眉を寄せる。


飲みきれなかった水が唇と唇の間から溢れて、花梨のあごを伝う。


「う……んう……」


小さく甘い声が漏れる。


その声は俺の心の奥の部分を激しく揺らす。


また……変な感情が俺を支配する。


「……ムカつくんだよ、お前」


イライラするような、ウズウズするような、もどかしい感情。


今まで感じたことのない気持ち。


初めてだから……俺はこの感情が何なのかよく分からない。


 
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