ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
「う……」


唇を離した。


だって……。


「なんで……また泣いてんだよ……」


花梨の目から流れる大粒の涙。


「ミナキ……く……」


なんで泣く?


俺とのキスがそんなに嫌?


……まだ“ケンゴ”が好きだから?


ならなんで俺と付き合ってんの?


……ムカつく。


「別れる?」


深く考えるより先に口から飛び出した言葉。


「俺のこと嫌いなんだったら、無理して付き合ってることないよ」


冷たい視線を花梨に投げる。


「俺はどうでもいいし。

別れたいなら言って」


うん、こんな女どうでもいい。


女なんて他にいっぱいいるし……こいつ1人いなくなったところで、特に何にも変わらない。


こいつなんてどうでもいい……はず、なのに……。


なんでこんなに胸が痛いんだ?


このじれったいモヤモヤは一体何なんだ?


「別れる」って自分で言ったくせに……。


なんで自分の言葉に傷付いてんだ……?


俺、おかしい。


こいつに頷かれるのが怖いと思ってる……。

 
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