ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
「な……んで……?」


花梨は涙をこぼしたまま俺を見上げた。


「意味……分かんない……ッ」


「……何が?」


「これ……夢だよね?

なんで……ミナキくんがいるの……?

なんでキスするの……?

なんで……別れるの?」


明らかに混乱した様子の花梨。


「お前、体育で走ったら倒れたんだろ?」


「グスッ……そなの?」


鼻をすすりながら首を傾げる。


自分が倒れたことも覚えてないなんて……。


「だから杏子に看病するように頼まれたんだよ。

とりあえず水飲ませとけって言われたから、飲ませてやっただけ」


花梨は顔を赤くして複雑そうな表情になる。


そして再び滝のように涙をこぼし始めた。


「それなのに……まさか泣くほど嫌がられるなんて思わなかったな」


次から次へと涙を流す花梨を、俺は再び冷たく見つめる。


「そんなに俺が嫌い?

俺にキスされたのがそんなに気に食わないわけ?」


黙り込む花梨。


俺はわざと大きくため息をついた。


「……もういい。

じゃーな」


 
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