ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
「……バカ」


俺は花梨をギュッと抱き締めた。


頬に頬を寄せて、目を瞑る。


俺の心臓の音と花梨の心臓の音が重なって聴こえた。


「妬いてたの?」


俺が耳元で囁くように尋ねると、花梨は鼻をすすりながら首を横に振った。


「妬いて……ないよ」


「けど俺が他の女にキスすんの、嫌だったんだろ?」


「……」


花梨は寂しそうに俯く。


「……でも大丈夫。

もう妬かないもん。

いちいち妬いてたらキリないもんね。

ミナキくんに彼女いっぱいいること、私知ってるから……。

ミナキくん、ヤキモチ焼かれるのウザイでしょ……?

ヤキモチ焼いたら……私のこと嫌いになるでしょ?」


胸がギュッと締め付けられたように苦しくなった。


確かに、妬かれるのは嫌い。


「私だけ見て」なんてウザイ。


けど……。


「……妬けよ。

嫌いになんてなんねーから」


花梨に妬かれるのは、なんだか気分がいい……。


 
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