ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
「ていうか……俺、口移しで水飲ませたのは初めてだから」
花梨の頬に伝う涙を親指で拭ってやる。
花梨が「え?」と顔を上げる。
「キスだって……自分からしたいと思うのはお前だけだよ」
これは冗談なんかじゃなくて、紛れもない本心。
こういうクサいセリフなんて、言い慣れてるけど……。
花梨に向かって言うと、なんだか妙に気恥ずかしい。
「あはは……。
そういうのも、どうせ色んな女の子に言ってるんでしょ……?」
俺の顔色をうかがいながらも、ちょっと皮肉っぽく呟く花梨。
「……ぶっ」
「へ!?」
思わず吹き出した俺。
「ななな……なんで笑うの!?」
だって……。
「お前、妬かないとか言って、めちゃくちゃ妬いてんじゃん?」