ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
「あっ、もしもし銀ちゃーん?」


「花梨か?

お前今ど……」


「保健室!!!」


「……にいる割には元気だな」


電話越しに銀ちゃんのため息が聞こえる。


「銀ちゃん、今日委員会のお仕事あるって言ってたよね?」


「ああ。

仕事終わるまでもう少しかかる。

図書室で待って……」


「ううん、今日は先に帰る!」


「……なんでだ?

いつもは帰れって言っても待つくせに」


突然、腕を引っ張られた。


「あ……!」


「やほー、銀爾ー」


ミナキくんに携帯を奪われた。


不意打ちだったから、携帯はすんなり私の手をすり抜けて、ミナキくんに渡った。


あまりに突然の出来事に驚いた私は、口をパクパクさせてミナキくんを見上げることしかできない。


「今日から花梨は俺と帰ることになったから。

あ、心配すんなよ、ちゃんとエスコートするし。

ってコトで、安心して仕事に専念してろ。

じゃあな」


ミナキくんは一方的に電話を終わらせると、携帯の電源を切って、私に渡した。


「ミナキくん……今日“から”って……?」


「ン?

今日からずっと、毎日一緒に帰るって意味だけど?」


「……!」


「嫌?」


「嫌じゃないけど……でも銀ちゃんが……」


「……ま、強制だけど。

何でも言うコト聞くって言ったよな?」


ミナキくんはニヤッと笑って、ポカンと口を開けている私のほっぺに軽くキスをした。


「帰るぞ」


 
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