ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
「じゃあ、もう帰ります。
先生さようなら」
私は先生におじきをして、保健室を出た。
「遅い」
ミナキくんは不機嫌そうに私を待っていた。
「ごめんね!
少し先生とお話ししてたから……」
「ふーん……」
ミナキくんの肩にかかっている2つのカバンに手を伸ばした。
「あ、カバンありがとう!」
「いい、持ってやる」
ミナキくんはグイッとカバンを肩にかけ直して、歩き出した。
その何でもない仕草に、胸が高鳴った。
後ろ姿を見つめる。
なんで後ろ姿まであんなにカッコいいのかな……。
「ミナキくん」
「何?」
「明日も一緒に帰るの……?」
「……“明日も”じゃない。
“明日から毎日”一緒に帰る……って、さっきそう言ったばっかだろ」
明日から……毎日……。
毎日、一緒に帰れるの……?
「おい」
「?」
「なに笑ってんだよ」
え……!?
慌ててほっぺに手を当てた。
わ……私、笑ってた!?
恥ずかしい……。
でも……。
「……嬉しいな」
ミナキくんのこと、ずっと独り占めするなんて無理だけど……。
でも下校の時だけは、毎日独り占めできちゃうんだよね?