ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
学校を出ると、ミナキくんに手を握られた。


指と指が絡む、いわゆる“恋人つなぎ”ってやつ。


こんな風に、改めて男の子と手をつなぐのは久しぶりで、胸がドキドキする。


銀ちゃんとはたまにつなぐけど、幼なじみだから別にドキドキはしないし……。


「手、小せーな」


恥ずかしくて俯いていた私の頭上で、ミナキくんがクスッと笑った。


「え……?」


ピクッと肩が動いた。


───……「お前の手、小さいなー」


橋本くんの優しい声が頭をよぎる。


懐かしいあの頃……。


ぎこちなく手をつないで、毎日一緒に帰ってたあの頃……。


幸せだったあの頃……。


そのあの頃と今が重なってしまった。


「ミナキくんが大きいからそう感じるだけっ」


「いや、小せェだろ」


……でも、不思議。


だって、私……今、なんだか幸せなんだもん。


今までは、橋本くんとミナキくんが重なると、たまらなく寂しかったのに……。


今は、平気。


あの頃が懐かしいな……って思ってしまうほど。


なんでかな……?


私、橋本くんが好きだったはずなんだけどな……。


なんでこんなにミナキくんにドキドキするのかな?


 
< 127 / 214 >

この作品をシェア

pagetop