ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
学校を出ると、ミナキくんに手を握られた。
指と指が絡む、いわゆる“恋人つなぎ”ってやつ。
こんな風に、改めて男の子と手をつなぐのは久しぶりで、胸がドキドキする。
銀ちゃんとはたまにつなぐけど、幼なじみだから別にドキドキはしないし……。
「手、小せーな」
恥ずかしくて俯いていた私の頭上で、ミナキくんがクスッと笑った。
「え……?」
ピクッと肩が動いた。
───……「お前の手、小さいなー」
橋本くんの優しい声が頭をよぎる。
懐かしいあの頃……。
ぎこちなく手をつないで、毎日一緒に帰ってたあの頃……。
幸せだったあの頃……。
そのあの頃と今が重なってしまった。
「ミナキくんが大きいからそう感じるだけっ」
「いや、小せェだろ」
……でも、不思議。
だって、私……今、なんだか幸せなんだもん。
今までは、橋本くんとミナキくんが重なると、たまらなく寂しかったのに……。
今は、平気。
あの頃が懐かしいな……って思ってしまうほど。
なんでかな……?
私、橋本くんが好きだったはずなんだけどな……。
なんでこんなにミナキくんにドキドキするのかな?