ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
甘い匂いがした。
「ぬ!?」
私はその匂いのする方に視線を向ける。
建ち並ぶ店の中に、“たいやき”と書かれた大きな看板を発見。
「たいやき……」
無意識のうちに口の中に溢れ出した唾をゴクッと呑んだ。
「……アレ食いたいの?」
ミナキくんが私の顔を覗き込んだ。
「え!?
ううん、別に……」
慌てて首を横に振った瞬間、私のお腹はグゥと音を立てた。
「あ……」
「……ぶはっ!」
私の顔が熱くなったのと、ミナキくんがゲラゲラと笑い出したのは同時だった。
なんか私、笑われてばっかり……。
「本当は食いたいんだろ?」
ミナキくんはポンと私の頭を撫でて、お店の方に歩き出した。