ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
真広が俺の胸元をじーっと見つめた。
「なんだよ?」
「ミナキって、そんなネックレス持ってたっけ?」
俺の首にかかるシルバーネックレスを指差して、真広は怪訝な表情を浮かべる。
「あー……これ?
これは昨日もらった」
「誰に?」
真広が俺を睨む。
「んー……と、女かな」
「最低だーっ!」って叫ぶ真広を横目に、銀爾は「またか」って顔をしてネックレスを引っ張った。
「……3万」
「おしい。
3万5000円」
真広がまたうるさくなってきたので、食べていた菓子パンを渡す。
「え、くれるの?
わあい!
ミナキくん大好きー♪」
ふう……。
これでしばらくおとなしくなるな。
「で、銀爾はなんなの?
これ欲しいの?」
「いや、めちゃくちゃいらないから。
やるって言われてもいらない」
「んだよ。
じゃ、その手離せ」
銀爾は興味なさそうにネックレスを見つめて、そして何も言わずに掴んでいた手を離した。