ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
「……何してんの?」


でも、私の不安は見事にくつがえされる。


「え……だって……。

ミナキくんも大食いな女は嫌いかなあ……って」


「ミナキくん“も”?」


「!」


ハッと口を手で押さえた。


「元カレに大食いは嫌いだって言われたんだ?」


ミナキくんは意味深な表情で私の顔を覗き込む。


私が困っていると、ミナキくんは小さくため息をついた。


うう……私のバカ!


またミナキくんと橋本くんのこと比べちゃって……。


「花梨」


「はい……」


返事をして恐る恐る顔を上げると、目の前にたいやきが現れた。


「え!?」


ミナキくんが私の顔の前にたいやきを突き出している。


「た、いやき……?」


「あげる」


ミナキくんは自分のたいやきを噛じりながら、小さく笑った。


「カスタードクリーム。

どっちも食いたかったんだろ?

2こ買ったから、1こあげる」


「え……でも」


「いらないの?」


ミナキくん……。


「……引かないの?」


私、女なのにこんなに食い意地張ってるんだよ?


「引くわけないじゃん。

むしろ可愛く見せようとして小食ぶってる女の方が引くね、俺は」


ミナキくん……。


「……で、これいらないの?

食わないなら捨てるけど?」


「食べる───!」


 
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