ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
クスクスと笑っているミナキくんに、気になっていたことを言ってみた。
「ミナキくんってさ」
「ん?」
「口悪いんだね」
ミナキくんはキョトンと目を丸くした。
そして、一瞬だけ眉をひそめた。
でもすぐにいつもの涼しい顔に戻って、突き放すような目を私に向ける。
「なに?
口の悪い俺は嫌い?」
「え?」
「お前も“優しいミナキくん”がいいわけ?」
するとミナキくんがあからさまに不自然な笑顔を浮かべた。
「ならいいよ。
花梨ちゃんにも、他の女の子と“同じように”優しく接してあげる」
私は慌てて首を横に振った。
「なら口悪いとか言うんじゃねーよ。
次また生意気言ったら、その口塞ぐ」
やっぱり口悪ーい……。
でも……。
「なにニヤニヤしてるわけ?」
「ンー?
だって嬉しいんだもん!」
「は?」
「だって、私だけ特別なんでしょ?
私にだけ、ミナキくんそういう風に話してくれるんでしょ?
私、優しいミナキくんより、意地悪なミナキくんのほうが好きだよー」
嬉しいの。
他の女の子には見せない素顔を見せてもらってる気がして……。
作られた優しいミナキくんなんていらないよ。
意地悪なミナキくんが本当のミナキくんなら、私はそっちのミナキくんの方がいいもん!
他の女の子には見せない顔、私にだけ見せて欲しいんだ。