ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
さっき立ち寄ったたいやき屋の前を通り過ぎた。
さっきと同じ甘い匂いが鼻をくすぐる。
───……「おいしーっ」
無意識に花梨の笑顔が頭に浮かんだ。
本当においしそうに、本当に嬉しそうにたいやきを頬張るアイツの横顔を思い出す。
あの笑顔を見た時、自分でも驚いてしまうような気持ちになった。
……ずっと見ていたい、って。
花梨をずっと隣で見ていたいって思った。
今まで女の隣にいたいなんて思ったこと、1回もなかったのに……。