ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
突然、テーブルに置いてあった弟の携帯が震えた。
小さなサブディスプレイに映し出された名前は……。
女の名前……?
「!?」
あからさまに動揺しながら携帯を取り上げる。
「……女かよ」
「るせーっ!」
俺がにやっと笑うと、ヤツは顔を真っ赤にして、ジャージのポケットに携帯を乱暴に突っ込む。
「彼女?」
「ちげーし!
つーか何だよいちいち!
勝手に人の携帯見んな!」
勝手に見んなって言われても……。
自然に目に入ったっつーか、じゃあテーブルに携帯置いとくなよ。
「俺もう行く!
行ってきます!」
バタバタと慌ただしく家を出て行く背中を見つめて小さく笑った。
あんな顔真っ赤にして……。
初々しー。
俺にもあんな時期が……。
あんな時期が……。
……なかったな。
それにしても……。
「あいつの着うたPerfumeだったな……。
Perfume好きなのか」