ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
ミナキくんは何も言わない。
沈黙が流れる。
「ミナキくん……?」
やっぱりダメかな、そう思って顔を上げた時、ミナキくんが震えているのに気付いた。
ミナキくんの顔を覗き込む。
「!」
思わず目を見開いた。
ビックリした……。
だって……だって……ミナキくんの顔、真っ赤なんだもん。
「……俺、動物園大好き」
「へ!?」
ミナキくんはボソッと呟くと、顔を上げてにっこり笑った。
「レッサーパンダの赤ちゃん、絶対可愛いだろうな」
そう言ってはにかむミナキくん。
「じゃあ……!」
「うん。
今週の日曜日にでも行く?」
や……やったあッ!
あまりに嬉しくてミナキくんに抱き付いてしまった。
「か……花梨!?」
「ありがとう、ありがとう、ありがとう……!
すっごく嬉しい!」
「……うん」
胸がドキドキと高鳴る。
うるさいくらいに大きな音を立てる心臓。
嬉しい……。
まさかミナキくんと動物園に行けるだなんて……。
「俺、動物園大好き」って言ってくれたのが、すごくすごく嬉しい。
ミナキくんは、動物園のこと“ガキくさい”って馬鹿にしないんだ……。
嬉しい。
どうしよう……。
私、どんどんミナキくんに惹かれちゃうよ……。