ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
俺は通話ボタンを押して、電話を耳に当てた。
「……ふぁい、もしもし?」
電話の向こうから聞こえてきた可愛い声は眠そうで、俺の想像を膨らませる。
目をこすりながら、ベッドに横になっている花梨の姿が思い浮かんだ。
「寝るの早くない?」
「え!?
ミッ……ミナキくん!?」
どうやら俺からだって分からずに電話に出たらしい。
驚いて飛び起きたのか、ギシッとベッドがきしむ音が聞こえた。
……にしても、すごい驚き様。
「どッどどどうしたの!?」
「理由なきゃ電話しちゃいけないの?」
「え……でも……!」
「嫌なら切るけど?」
「待って!
ち、違うの……!
あの……その……」
わざと不機嫌そうな声を出してみた。
「ビックリしたの。
ミナキくんと電話するの初めてだから……だから……えっと……う、嬉しくて……」
そんな俺の演技にまんまと引っかかってくれる花梨が、たまらなく可愛い。