ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
「電話するの初めてだっけ?」
「うん!
わあああー……!
電話からミナキくんの声がする……!」
「そりゃあ、するよ」
「なんか耳元でミナキくんが喋ってるみたい……!
ダメだ、緊張しちゃう」
電話の向こうで花梨が小さく笑った。
あー……。
今、めちゃくちゃ撫でたい、アイツの頭。
「普通に電話くれればいいのに」
俺がそう言うと、花梨はしばらく黙ってから口を開いた。
「でも、ミナキくん迷惑じゃない?
他の女の子からもいっぱい電話くるでしょ?」
花梨の声がだんだん小さくなっていく。
「私は……一緒に帰ってもらってるから、それだけで幸せだもん……」
まるで自分に言い聞かせているような話し方。
その声はあまりに弱々しくて、寂しそうで……。
俺の胸をチクッと痛めつける。