ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
「メールごときでいちいちうるさい。

ミナキくんってそんな人だとは思わなかった。

なんか、幻滅しちゃった。

別れて」


そんな内容を想像してしまい、メールを開くのが躊躇われる。


電話マークのボタンの上に置かれていた指を、メールマークのボタンの方に移動させる。


弱い力でボタンを押すと、メールボックスが開かれる。


速まる動悸を抑えて、花梨からのメールを開いた。


「メール
 苦手でごめんなさい

 これからは
 いっぱい
 電話しちゃうね:)
 
 ミナキくん♂
 だいすきv(◎∠◎)/
 
 おやすみなさいZ」


思わず吹き出した。


「何このメール……」


ミナキくん♂って……。


つんく♂か、俺は。


しかも顔文字チョイスミスだろ。


v(◎∠◎)/……なんで驚いてんだよ。


そして最後の謎は、おやすみなさいZ……だな。


Z……。


多分、(-_-)゚zzz… のzzzのことだと思うんだけど。


にしてもヒドいな……。


まあこれが、アイツなりの最高のメールなんだろうけど。


「ふ……バカじゃねーの」


俺は小さく笑って、そのメールに鍵のマークをつけた。


そして、すぐに返信した。


「ありがと。

 おやすみ。







  」


……気付かないなら、気付かなくていい。


俺が女に初めて送ったハートマーク。


 
< 166 / 214 >

この作品をシェア

pagetop