ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
「メールごときでいちいちうるさい。
ミナキくんってそんな人だとは思わなかった。
なんか、幻滅しちゃった。
別れて」
そんな内容を想像してしまい、メールを開くのが躊躇われる。
電話マークのボタンの上に置かれていた指を、メールマークのボタンの方に移動させる。
弱い力でボタンを押すと、メールボックスが開かれる。
速まる動悸を抑えて、花梨からのメールを開いた。
「メール
苦手でごめんなさい
これからは
いっぱい
電話しちゃうね:)
ミナキくん♂
だいすきv(◎∠◎)/
おやすみなさいZ」
思わず吹き出した。
「何このメール……」
ミナキくん♂って……。
つんく♂か、俺は。
しかも顔文字チョイスミスだろ。
v(◎∠◎)/……なんで驚いてんだよ。
そして最後の謎は、おやすみなさいZ……だな。
Z……。
多分、(-_-)゚zzz… のzzzのことだと思うんだけど。
にしてもヒドいな……。
まあこれが、アイツなりの最高のメールなんだろうけど。
「ふ……バカじゃねーの」
俺は小さく笑って、そのメールに鍵のマークをつけた。
そして、すぐに返信した。
「ありがと。
おやすみ。
」
……気付かないなら、気付かなくていい。
俺が女に初めて送ったハートマーク。