ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
俺は花梨の頭をそっと撫でた。


「なに言ってんだか」


そんなこと言ったら、俺の方が恥ずかしい。


花梨にとって自慢の彼氏になりたくて、いつもより気合い入れてオシャレした。


これじゃ、俺にまとわりついてくるド派手な女たちと変わらない。


「お前は可愛いよ」


「!?」


ド派手に着飾った女なんかより、花梨の方が何十倍も何百倍も可愛い。


「ミナキくん……」


「ほら、行こうぜ」


俺は花梨の手を引っ張って歩き出した。


花梨は顔を真っ赤にしたまま、俺に引きずられるようにして歩く。


「手」


「て……?」


「握り返せよ」


俺がそう言うと、花梨はおずおずと握り返してきた。


繋いだ手に更に力を込める。


「ミナキくん……」


花梨が俺を見つめてるけど、俺は前を向いたまま歩く。


だって、今めちゃくちゃ変な顔してるし……俺。


「歩くの速かったら言って」


柄にもなく、俺がそうぶっきらぼうに呟くと、花梨は嬉しそうに笑った。


「ウンッ!」


 
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