ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
レッサーパンダが見える場所にあるベンチに、並んで腰掛けた俺たち。
「だかだかだかだかだか……」
自分の口でドラムロールを奏でる花梨が面白くて笑ってしまう。
花梨はしばらくリュックをゴソゴソとあさった後、中からこれまた大きな弁当箱を取り出した。
正方形の弁当箱は、まるで重箱みたいだ。
「ジャンジャジャ~ン」
花梨はニコニコしながら弁当箱の蓋を開ける。
「……え?」
思わず言葉を失った。
「ミナキくん、どしたの?」
俺は中身を凝視する。
「もしかして、おにぎり嫌いだった……?」
やっぱり、おにぎりなんだ……コレ。
俺が見たもの、それは大きな弁当箱いっぱいに詰め込まれたおにぎりの山だった。