ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
大きい目をさらに大きく見開いてそいつは俺を見ている。
これでもかってくらいウルウルした瞳は、今にもこぼれ落ちそう。
「あ、の……」
「あ、ごめんね。
聞くつもりはなかったんだけど」
「ややや……やっぱり聞こえちゃったんだ!!!」
そいつの顔が一瞬にして深い赤に変わる。
「どうしよう……」
両手を頬に当てて泣きそうになっている姿が、またかわいい。
「ねえ」
俺が声をかけると、小さな肩がビクッと震えた。
「なにしてたの?」
「あ……あの、ちょっと練習を……」
「練習?
もしかして、告白の?」
俺がゆっくり近づくと、そいつは「何でもないです!」と叫び、突然逃げ出した。