ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
「さてと、そろそろ行くか」


ミナキくんがゆっくりと私から体を離した。


「あ……」


思わず声が漏れる。


もうちょっと、ギューッてして欲しかった……な。


なーんて。


一瞬でもそんなことを考えてしまったのが恥ずかしくて、つい真っ赤になってしまう。


「ここじゃ、人目につくだろ?」


「へ?」


ミナキくんが他のお客さんを見渡しながら口を開いた。


「続きは後でしてあげるよ」


そう言って、ふわっと微笑むミナキくん。


まるで私の言いたいことが分かってるみたい……。


「ほら」


ミナキくんは優しく私の手を引いた。


私は抱き寄せられるようにして立ち上がる。


手はしっかり握られたまま。


「じゃ、行くか」


なんともない顔で歩き出したミナキくんの隣りを、私は真っ赤な顔を隠すようにして俯きがちに歩く。


ミナキくん、気付いてるかな?


私がこんなにもドキドキしてること、ミナキくんは気付いてるのかな……?


 
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