ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
そんな風にじゃれあいながら歩いていると、あまりに楽しすぎて思わず時間を忘れてしまっていた。


動物園を出てから、どのくらい歩いたのかな?


私の目には見慣れない街並みが飛び込んできた。


おしゃれなお店が建ち並ぶ、賑やかな大通り。


「ねえミナキくん、そろそろどこ行くのか教えてよお」


少し不安になってミナキくんを見上げると、ミナキくんはちょっと照れくさそうに口を開いた。


「……俺んち」


そう言って小さく咳払いしたミナキくんの横顔を、思わず目を見開いて見つめてしまった。


「ミナキくんの……おうち……?」


ミナキくんは目だけでチラッと私を見る。


「……嫌?」


「い、行きたいッ!」


間髪入れずに答えた私に、ミナキくんは目を丸くする。


そして、すぐ笑顔になった。


「まァ……嫌って言われても聞いてやらなかったけど」


 
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