ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
ミナキくんは私の手を強く握り直した。


「あと15分くらいで着くけど、疲れてない?

もう少し歩ける?」


「うんっ」


「よし、いい子。

じゃあ行くか」


そう言って歩きだそうとした、その時だった。


「ミナキ!!!!?」


私たちの後ろから、女の人の声がした。


振り返ると、そこには私とは見事に対照的な大人っぽい綺麗な女の人が、恐ろしい形相で立っていた。


「え……?」


だ、誰?


思わずミナキくんを見上げる。


ミナキくんは面倒くさそうな表情を浮かべて、小さく舌打ちをした。


「誰よ、その女!?」


女の人はガツガツとハイヒールを鳴らしながら、こっちに近付いてくる。


「ミ、ミナキくん……」


ミナキくんは私をかばうように一歩前に出て、私を後ろに隠した。


私の手を握るミナキくんの手に、ギュッと力が入った。


 
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