ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
女の人は私たちの目の前まで来ると、ものすごい剣幕で声を張り上げた。
「ミナキ、今日の約束忘れたの!?」
ミナキくんはダルそうにため息をつく。
「あー……なんかあったっけ?」
ミナキくんのその一言に、女の人の顔にはみるみるうちに青筋が立っていく。
「今日、私とデートする約束してたでしょ!?
私、2時間も待ってたのよ!?
まさか忘れたの!?」
「あー、悪い」
「最低!
私が一番の彼女だってこないだ言ったくせに!」
ヒステリックに喚き散らす女の人を見下げて、ミナキくんは小さく哀れむように笑った。
悪魔みたいな、冷たい微笑み。
「残念だけど……デートしてたところで、俺、アンタのこと振るつもりだったから。
こんなところで会えるなんて調度良かった。
別れてくれない?
今までアリガト」
ミナキくんがあまりにもあっさりと言い放ったその言葉に、女の人は目を見開く。