ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
ゆっくり小さくなっていく後ろ姿を見つめる。
「走るの遅……」
あいつが走り去った後、俺は木に近付いた。
銀爾と同じくらいの高さの木。
白い花が咲き乱れていて、いい匂いがする。
枝にかかっている簡易なプラスチックのプレートには、“クチナシ”ってかいてある。
──……「好きですっ」
この木に必死になって頭を下げていた、あいつの姿を思い出した。
「木に告白の練習するやつなんて……初めて見た」
思わず思い出し笑いがこぼれる。
……変な女。
それにしても……。
「……かわいい顔してたな」