ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
予想外だったミナキくんのマンションに興奮した私の目からはすっかり涙が消えていた。
ミナキくんの後に続いてしばらく歩くと、白色の扉が見えた。
扉の横の表札には“山内”と書いてある。
「ここ」
ミナキくんがその大きな扉に鍵を差し込むと、私のドキドキはピークに達した。
そんな私を見かねたミナキくんは、小さく笑ってくれた。
「緊張しなくていいよ。
今日、うち誰もいないから」
「え!?」
誰もいないから……って、逆に緊張しちゃうよ!
ミナキくんが扉から鍵を抜き、扉をゆっくりと引く。
「どうぞ」
玄関に踏み込むと、ふんわりとミナキくんの匂いがした。