ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
「兄ちゃんの……彼女……?」


「“兄ちゃん”!?」


ってことは……。


「弟……さん?」


「あ、はい。

えっと……初めまして」


男の子は小さくはにかんで私に頭を下げた。


ミナキくんの……弟さん……!


ど……どうりでカッコイいはず……!


「ヘェー……。

あなたが例の彼女かあ……」


弟さんは珍しいものを見るかのように私を見つめる。


「例の……?」


「はい。

兄ちゃんが初めて夢中になった彼女」


弟さんはそう言って、楽しそうに笑った。


「兄ちゃん、今まで女の人のこと大切にしたことないんですよ。

なのに最近、人が変わったみたいに彼女があーだ彼女がこーだ言うから、おかしいなーって思ってたんです。

どうやって兄ちゃんのこと落としたんですか?」


弟さんの話に思わずたじろぐ。


真っ赤になる私を見て、弟さんはますます面白そうに笑う。


「ていうか、兄ちゃんが彼女を家に入れたの初めてだし……」


「逢(アイ)!」


「ゲッ!」


振り向くと、グラスとお菓子の乗ったトレイを持ったミナキくんが立っていた。


 
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