ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
「どうした、そんな泣き腫らした目して」
銀ちゃんが親指で私の涙をぐっと拭ってくれた。
「グスッ……銀ちゃーん……」
「んっとにお前は……。
昔から泣き虫なのは変わらないんだな」
銀ちゃんが優しく頭をポンポンって撫でてくれる。
銀ちゃんのおっきくてゴツゴツしたあったかい手、安心する。
「佐々木(ササキ)、こいつなんで泣いてるのか分かるか?」
銀ちゃんが尋ねると、杏子は呆れたようにため息をついた。
「知ってるけど……。
本人から聞いたら?
私から説明するのは面倒くさいもん」
杏子ひどいっ!
「……そうするか」
すると、銀ちゃんは私の腕をグイッと引っ張った。
「……帰るぞ。
じゃあな、佐々木」
「ん、バイバイ。
花梨のこと、よろしくねー」
銀ちゃんに引っ張られながら、慌てて杏子に手を振った。