ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
「ああ、真希子(マキコ)」
橋本くんが手招きすると、ドーナッツが乗ったプレートを持った女の子が近付いてくる。
「謙悟、突然いなくなるからびっくりしたよ」
「あは、ごめんごめん」
モデルみたいに背が高くて、大人っぽい綺麗な女の子。
私とは正反対な感じ。
女の子は私を睨むように見てから、橋本くんにすり寄った。
「謙悟、誰?」
「中学ん時の友達だよ」
橋本くんと女の子が話している様子を黙って見つめていた。
嫌な緊張が心を蝕む。
体が震える。
気持ち悪い汗が滲む。
……誰?
……この子、誰?
橋本くん……この女の子、誰?
「あ、銀爾、花梨、紹介するわ。
こいつ、俺の彼女。
同じ高校なんだ」
「真希子です。
よろしくね」
彼、女……?