ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
見覚えのある顔だった。
「……確か、あの女」
超が付くほどかわいい顔、ちっこい体にサラサラの長い髪。
「……思い出した」
そうだ。
木に告白してた、あの変な女だ。
銀爾の女だったのか?
「ふ~ん……」
んだよ……。
つまんねー……。
心地の悪い冷たい風が、静かに横を吹き抜けていく。
前髪が右に流れた。
乱れた髪をサッと整えて、小さく息を吐いた。
「……寒いな」
なんとなくモヤモヤした気持ちを抱いたまま、俺は家路についた。