ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
「……ねぇ」
俺はバカ笑いしてる男たちの元に近寄った。
「は?
なにお前」
「ん?
1組の山内ミナキだけど」
「名前なんて訊いてねーよ。
何か用かって言ってんだよ」
うっぜ。
このブサイクニキビ……。
「別に用ってほどじゃないんだけど……。
あまりに耳障りだったからさ、黙ってくれないかなーって。
ほら、あの子泣きそうじゃん」
「ああっ!?
テメェちょっと顔良いからって王子様気取りか!?
なんでテメェにんなこと言われなきゃなんねーんだよ!」
このニキビ、顔ならず口まで悪いんだな。
「あんまり怒らないほうがいい。
崩れた顔がさらに崩れて悲惨だよ」
「な゙……!」
「それより、早くあの子に謝れば?」
俺がイヤミっぽく微笑むと、ブサイクニキビが腕を振り上げた。
あーあ……俺、暴力嫌いなんだけど。
殴りかかってきたブサイクニキビを軽くかわして、素早く顔面を殴る。
……ふりをする。
「す、すん止め……」
俺、空手やってるんだよね。
すん止めといえど、正拳を食らったブサイクニキビは腰を抜かしている。
情けないヤツ。
拳をほどいて、同情のため息をつく。