ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
黒板の前でポカーンと俺を見ていたアイツ。
俺がゆっくり近付くと、ビクッと肩を震わせた。
「貸して」
俺はそいつの手から黒板消しを受け取って、消し残っていた黒板の上の部分をササッと消した。
「あんなバカな奴らは気にしないほうがいいよ」
そう言って俺が微笑むと、顔を真っ赤にして頷いた。
「あのっ……」
「ん?」
「助けてくれて、ありがとうっ」
ペコッと頭を下げる。
……あー、ヤバい。
なんか……普通にかわいい。
「どういたしまして」
そいつの耳元にそっと顔を寄せる。
そして、小さく囁いた。
「……いいモノ見せてもらったから、そのお礼」
俺が意地悪な笑みを見せると、そいつは顔を真っ赤にして目を見開いた。
「いいモノって……!
もしかして、もしかして……!
みみみ……見たの!?」
「見えたの」
「い、いやああああああ!」
耳まで赤くしてしゃがみ込む姿が、またかわいくて……。
もっともっと、イジメてやりたくなった。