ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
「どした?

思い詰めた顔して、花梨らしくないじゃん」


「杏子……」


黒板を見上げたままの私を不思議に思ったのか、杏子が近寄ってきてくれた。


「あ……杏子、さっきはありがとう」


「ん?

私は別になんもしてないわよ?」


「ううん、助けてくれたもん。

嬉しかった。

ありがと」


杏子は照れくさそうに笑って、私を撫でた。


「今、山内のこと考えてたんでしょ?」


「えっ?」


突然杏子の口から出た名前に、思わず動揺する。


「ぷっ……わかりやす」


「な゙……!」


「山内、かっこよかったね」


杏子が小さく笑う。


 
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