ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
挑発的に微笑むミナキくん。
何も言い返せない私は、唇を噛んでミナキくんを見上げることしか出来なかった。
すると、ミナキくんが私のあごから手を離した。
「仕方ないな……。
……ほら」
そう言って、ゆっくり瞳を閉じる。
目を閉じた顔があまりに綺麗で、思わず見とれてしまった。
「特別に10秒だけ待っててあげる」
ミナキくんは目を閉じたまま、小さく笑った。
「10」
「……へ?」
「9、8、7……」
「ぇえーっ!?」
甘い声で淡々と数えられていく数字。
「6、5、4……」
どうしよう……。
どうしよう……。
焦る私を差し置いて、刻々とカウントダウンは進んでいく。
「3」
今までにないくらい、高速で鼓動を刻む心臓。
「2」
キツく目を閉じる。
「1」
ミナキくんの肩に手を伸ばした。
そして……。
「……?」
ミナキくんがゆっくり目を開ける。
……予想外の展開。
身長が足りなくて、ミナキくんの唇まで届かなかった……。