ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
俺は女の顎を持ち上げて、軽くキスを落とした。


突然のキスに、女は池のコイみたいにマヌケに口をパクパクさせる。


バカかこいつ。


キスなんて挨拶みたいなもんなのに。


「じゃ、今日からよろしく」


もはや不自然なほど爽やかな笑顔を作る。


「ミ……ミナキくん!」


唇を押さえて赤面している女。


こういう女の顔は見慣れてるから何とも思わない。


「じゃ、俺先に教室戻るね。

落ち着いたら戻ってきなよ。

そんなリンゴみたいに可愛い顔、他の男子に見られたら食べられちゃうから」


……なんてな。


我ながら寒いセリフだ。


でもバカな女にはこれくらいが調度いい。


これくらい寒いセリフの方がバカは喜ぶから。

 
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